2026年8月1日、稲城長沼校の小学4年生の生徒さんが、プログラミング能力検定(通称プロ検)主催の「タイピングチャレンジカップ2026夏」に挑戦しました。

当日は東小金井校とZoomでつなぎ、離れた教室同士がひとつの画面を共有しながらの参加です。目の前にあるのは自分のパソコンだけ。それでも画面の向こうには、同じ課題に同じ時間で取り組んでいる仲間がいる。この距離感が、背中を押してくれたように思います。

予選は、プロ検が公開している「タイピングチャレンジ」のレベル3相当。制限時間60秒での勝負です。お題は「メロンパン」「こめびつ」「ちゃづつ」。音の似た言葉がならぶほど指はあせりやすく、速さを求めるほど正確さが落ちていきます。それでも一文字ずつていねいに打ち切っていく姿に、日々の積み重ねが表れていました。

なお、このタイピングチャレンジはどなたでも無料で利用できます。お子さまと一緒に、ぜひ一度レベル3を試してみてください。60秒がどれだけ短いか、体感していただけるはずです。

タイピングチャレンジ byプロ検

さて、この記事では結果をご報告しません。

意地悪をしたいわけではありません。子どもが何かに挑戦したとき、大人が最初に何を口にするか——そこに、その後の伸び方を左右するくらいの差があると考えているからです。

「すごいね」が、ときに挑戦を止めてしまう

教育心理学の分野には、称賛の向け先に関する有名な研究があります。

課題を終えた子どもたちを2つのグループに分け、一方には「頭がいいね」と能力をほめ、もう一方には「よくがんばったね」と努力や過程をほめる。その後、「簡単な課題」と「難しい課題」のどちらに挑戦するかを選ばせると、選択に差が出ることが繰り返し報告されてきました。

能力をほめられた子どもは、簡単なほうを選びやすくなります。「頭がいい自分」という評価を守るには、失敗しないことが最も確実だからです。一方、過程をほめられた子どもは、難しいほうを選びやすくなる。がんばること自体が評価されるのなら、失敗はコストになりません。

(※こうした研究の解釈には慎重な議論もありますが、「結果ではなく過程に注目する」という基本的な姿勢の有効性については、広く支持されています)

「何位だった?」という問いは、悪気なく口をついて出ます。けれどその問いは、評価の基準が結果にあるというメッセージを一緒に手渡してしまう。次に大会の案内が来たとき、その子は「勝てそうかどうか」で参加を決めるようになるかもしれません。

挑戦を評価する、3つの声かけ

では、どう伝えればよいのでしょうか。教室で私たちが意識している3つをご紹介します。

1. 「決めた」ことを言葉にする

「出るって決めたの、すごいと思う」

大会に申し込むという行為は、うまくいかない可能性を引き受けることでもあります。教室で問題を解くのとは、必要な勇気の種類がまったく違います。まずこの一点を、はっきり言葉にして返します。

2. 見えた過程を、具体的に描写する

「あせって打ち直すんじゃなくて、一文字ずつ確実に打ってたよね」

「がんばったね」だけでは、何をがんばったのかが本人に残りません。見ていた大人にしか言えない具体を返すことで、子どもは自分の取った行動を客観的に認識できます。これが次の場面での再現につながります。

3. 次の目標を、大人が勝手に決めない

「次は入賞だね」——励ましのつもりが、子どもにとっては新しいノルマになることがあります。次にどうしたいかは、本人の中から出てくるのを待つ。内側から湧いた「やりたい」でなければ、困難の前で踏みとどまる力にはなりません。

この点については、以前の記事でも詳しく書いています。

できないを乗り越えるたった一つのこと

教室の外に出る、という経験そのものについて

タイピングは、地味な練習に見えます。単語を正確に速く打つ、それだけです。

けれどこれは、これから何を作るにも土台になる力です。プログラムを書くときも、企画を文章にまとめるときも、頭に浮かんだものを外に出す速度は、思考の速度そのものを左右します。

そして今回、より大きな意味があったのは教室の外の舞台に立ったという経験のほうだと考えています。

見知らぬ相手と同じ土俵に立つ。時間内に終わらせる。うまくいかない可能性を引き受けたうえで、それでもエントリーする。これらは教室の中だけでは経験できないことです。

順位は毎回変わります。けれど「やってみると決めた」という記憶は、その子の中に残り続けます。私たちが評価したいのは、そちらのほうです。

おわりに

オンリーワンプログラミングアカデミーでは、教室の中で技術を積み上げるだけでなく、外の舞台に立って力をためす機会も大切にしています。

プログラミングはあくまで手段です。自ら考え、他者と関わり、うまくいかない可能性を引き受けて一歩を踏み出す——その土台をつくることが、私たちの本当の目的です。

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